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​日々のことや、仕事のこと

文藝春秋のコンビニ人間

2016年の9月号の文藝春秋に、芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの「コンビニ人間」の全文と、審査員の批評文が掲載されていたので、購入して読みました。「コンビニ人間」は、他の芥川賞候補作品の中でも抜きん出て高評価、審査員票数を圧倒的に集めた作品であるということで、とても期待していました。

読んでみて、そこまで言われる理由がわかりました。

印象的だったのが、問題のない「あちら側」と問題のある「こちら側」という表現です。

18年間も未婚で彼氏も作らず、アルバイト生活を続けている恵子は、「あちら側」で、「異物」。結婚したり、正社員として働いたりと、現代社会の「普通の生活」をしている「まともな人」は「こちら側」と表現されているのです。

別段大きな悩みもなく、淡々と「あちら側」の生活をするより、色々悩み問題を抱えながらも「こちら側」の生活を重ねていく方が健全である、という世間の認識を知った主人公の恵子。

恵子自身は、コンビニのバイト店員として働くことにやりがいを感じているし、その毎日に不満もない。それなのに、周囲はそんな自分に対して、その生活を続けていることに疑問を感じ、指摘したいだけ指摘してくる。

自分たちが「まとも」であると信じ込んでいる人ほど「まともでない人」を探しては指摘したがるのですね。

今の時代、誰もが社会の中での自分の「立ち位置」を気にしているからこそ、こういうやりとりが頻繁に起こっているんですよね。平均か平均以上だったらとりあえず安心で、自分が安全圏だと知れば、平均以下の人に対して「なんなの?」という目を平気で向けていいと思っている。

ある意味、好奇心の対象でもあり、そういう人がいることで安心しているくらいのくせに、よく知りもしない相手にも下品に詮索して「大丈夫なの?」と適当に心配する無責任さ。人間の嫌なところですね。

「風当たりが厳しい」っていう言葉って、日本以外にもあるんですかね。

#コンビニ人間 #村田沙耶香 #文藝春秋 #芥川賞 #アルバイト #恵子 #古倉

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