美しく青きドナウ
小さい頃に、何年間かピアノを習っていたことがありました。
毎年クリスマスになると、練習生を集めて、先生の家で発表会を行っていました。
個人レッスンだったので、あまり顔をあわせることのない生徒同士が緊張しながらも、美味しいケーキやお菓子を食べて楽しい時間を過ごすのですが、先生があらゆる工夫を凝らすので、今でも私の中で印象深く記憶に残っています。
ピアノの発表の順番決めって、事前に決まっていたりするものですが、その先生の教室では違いました。
当日、みんなが集まったところで、なぜか突然お饅頭を配り出す先生。生徒たちに行き渡ったところで、「お饅頭の後ろを見てみてください」と言って、裏を返すと数字が書かれているのです。
「この数字の順番で、ピアノを弾いてもらいます。」
突然順番が決まるので、生徒たちはざわつきます。
ここで和めばよかったのですが、順番が前半だった私を含め数人の生徒たちは気が気じゃありません。
この発表会で弾いた曲は今でも忘れません。「美しく青きドナウ」です。